早朝の竹田城へ。静けさに包まれた石垣の山城を歩く

届いたばかりの竹田城年間パスポートを手に、早朝の登城に挑みました。
封筒の中には竹田城オリジナルのタオルが同封されていて、まずそこで気分が上がります。こういうちょっとしたプレゼントは、地味にうれしいものです。

この日は夜明け前に自宅を出発し、山城の郷に着いたのは午前5時ごろ。
空はすでに明るく、太陽は稜線の向こうから昇った直後といった様子でした。
天候はやや曇りで、青空というよりはグレーがかった静かな空。名物の雲海や朝霧には出会えなかったものの、ひんやりとした空気が気持ちよく、静寂に包まれた山はそれだけで特別な空間でした。

■ 「落ちない岩」で足を止める

登山道を歩いていく途中、山道の脇に現れるのが「落ちない岩」。
崖の斜面にまるで突き刺さるような格好で巨大な岩が鎮座しています。
自然の造形とは思えない不安定なようで絶妙なバランスに、誰もが思わず立ち止まる名所です。

この岩はその名の通り「落ちない」ことから、受験・就職・資格試験などの合格祈願スポットとしても知られています。
実際に見ると、妙な安心感があり、まるで竹田城への“門番”のよう。手を合わせる人の気持ちもわかります。

■ 山城の真髄、石垣にふれる

山頂部に築かれた竹田城跡に到着すると、すぐに目に飛び込んでくるのが壮大な石垣群
標高約353メートルの古城山の尾根と山腹を利用して築かれたこの山城は、南北に長い構造を持ち、全体の城域は約400m以上におよびます。

本丸を中心に、二の丸、三の丸、花屋敷、南千畳などの曲輪(くるわ)が段状に連なり、尾根の形状にあわせて巧みに配置されています。
特に本丸南側からの眺めは圧巻で、うねるような石垣が幾重にも重なりながら、かつての要塞の面影を今に伝えています。

石垣の積み方も注目です。自然石を無加工で積み上げた「野面積み」と、やや加工した石を噛み合わせる「打ち込み接ぎ」の両方が見られ、当時の土木技術と工夫がしのばれます。
石の隙間から芽吹く草花や苔の緑が、灰色の石に命を与えているようで、どこか儚さと力強さを感じさせてくれます。

■ 人の少ない静けさこそ、早朝登城の醍醐味

早朝5時台の登城のメリットは、なんといっても人の少なさ。
この日もすれ違う登山者は数えるほどで、竹田城全体をほぼ独り占めできる贅沢な時間でした。
音といえば、風の音と自分の足音、鳥のさえずりくらい。そんな中、静かに佇む石垣の前に立っていると、戦国時代と地続きであるような錯覚さえ覚えます。

ベンチに腰を下ろし、本丸からの景色を見下ろすと、雲のない分、町並みや山の起伏がはっきりと見え、また別の感動があります。
雲海に包まれた幻想的な竹田城も美しいですが、くっきりと輪郭が見える朝の曇り空の下も、また格別でした。

■ 年間パスで、また来ようと思える場所

今回の登城は、天候に恵まれたとは言えないかもしれません。
けれど、登るごとに表情を変える山道、石垣、空の色、それぞれがかけがえのない景色をくれました。

年間パスがあることで、「また来よう」と思える気持ちの余裕ができたのも嬉しいところ。
次は秋の紅葉、あるいは冬の霧氷の季節に再び早朝登城しようと、今から楽しみにしています。

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