またまた篠山城へ行ってきました
三連休の中日、そして丹波篠山名産黒枝豆の解禁が重なり、篠山のまちは多くの人でにぎわっていました。黒枝豆に丹波栗、松茸と「城と秋の味覚」を同時に楽しめる絶好の季節です。


篠山城跡の歩き方と気づき
いつも感じるのですが、篠山城跡を訪れる人の多くは、内堀を渡って枡形虎口を抜け、大書院や二の丸まではよく足を運びます。
しかし、その東側にある本丸跡まで進む人は意外と少ないように思います。


天守台が残る本丸跡への入口は、「本丸への入口」というよりも、どちらかといえば青山神社の入口のように見えるためかもしれません。
案内図を手にした観光客の中には本丸跡まで進む方もいますが、埋門から三の丸へ下りていく人はほとんど見かけません。
ましてや、城好きには欠かせない「馬出(うまだし)」まで足を延ばす人は、ほぼ皆無といってよいでしょう。


南馬出はともかく、整備されて公園化している東馬出も同様です。
東馬出公園のベンチに腰を下ろし、20分ほどまったりと過ごしていましたが、その間、誰一人として訪れる人はいませんでした。
静かな空気と、往時の防御構造を思い浮かべながら過ごすひとときは、城跡ならではの贅沢な時間です。


枡形・虎口・馬出とは?
篠山城のような近世城郭には、「攻めにくく、守りやすい」ための構造が随所に工夫されています。
その代表的なものが、**枡形(ますがた)・虎口(こぐち)・馬出(うまだし)です。
🧱 枡形(ますがた)
城門を守るための四角い防御空間です。
敵が門を突破しても、すぐに城内へ入れないよう、直角に折れ曲がった空間を設けています。
この中で敵を包囲・攻撃できるため、まさに「袋のネズミ」にする仕組みです。


🚪 虎口(こぐち)
城の出入口全般を指しますが、単なる門ではありません。
敵がまっすぐ突入できないよう、門の配置や通路の角度を巧みにずらして構築されました。
虎の口に入るような危険な場所、という意味から「虎口」と呼ばれます。


🐎 馬出(うまだし)
虎口の外側に設けられた**防御用の小郭で、戦時には城内から出撃する兵の待機場所にも使われました。篠山城では北南東と3か所に設けられており、東と南が現存しています。特に東馬出は在「東馬出公園」として整備されています。全国でも貴重な遺構となってます。


城を「構造」で楽しむ
「枡形」「虎口」「馬出」といった仕掛けを意識して歩くと、
篠山城の防御設計の巧みさが一層感じられます。
単に建物や石垣を見るだけでなく、自分が攻め手や守り手になったつもりで歩くと、城の見方が変わるはずです。
篠山城は、そうした「城郭構造の面白さ」を体感できる貴重な城跡です。


まとめ
人の多い二の丸や大書院も魅力的ですが、少し足を延ばして本丸跡や三の丸跡(土塁)、馬出まで歩くと、篠山城の本当の姿に出会えます。次に訪れるときは、ぜひ「防御構造」という視点をもって歩いてみてください。静けさの中に、戦国から江戸へと続く歴史の息づかいが感じられることでしょう。
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