甲府城攻城記|甲府三城めぐり、最後は風格漂う近世城郭・甲府城へ
東京出張の翌日を活用し、要害山城・武田氏館とまわってきた甲府三城攻城旅。
その締めくくりとなるのが、甲府駅前に堂々と構える 近世城郭・甲府城(舞鶴城) です。
要害山の急峻な山道、武田氏館の武家屋敷的な風情を抜け、最後に辿り着く甲府城は、まるで“城の進化”を一日で体感できるような締めの一城。
都市城郭としての構造、石垣の積み方の美しさ、そして城下を睥睨するような天守台の迫力──まさに江戸時代へと続く日本の城郭の完成形がここにあります。


■ 城下を一望する天守台の迫力
甲府城最大の見どころは、やはり 巨大な天守台。
現存建築こそ残らないものの、石垣の量感と高さは圧倒的。
要害山城の山城的堅固さ、武田氏館の守護所としての静けさと対照的で、
「ここから新しい時代が始まった」と感じられるスケール感があります。
天守台からの眺望も格別で、甲府盆地と南アルプスを一望できる開放感は筆舌に尽くしがたいものがあります。


■ 石垣に宿る技術と美しさ
甲府城の魅力は、天守台だけではありません。
城内に張り巡らされた 高石垣・切石積み の美しさは、近世城郭の技術の粋。
稲荷櫓跡付近の石垣の伸びは特に見応えがあり、
要害山城や武田氏館とはまた別の“力強さと整然さ”が際立っています。


■ 雨に濡れた石垣が見せる、もうひとつの甲府城
三城めぐりの終盤、天気は下り坂。
甲府城を歩き終える頃には雨が降り出しました。
けれど、これが思わぬ収穫。


雨に濡れた石垣は、色味が深まり、陰影が際立ち、普段以上に表情豊か。
特に甲府城の切石積みの精緻さは、濡れた表面に光をわずかに反射して静かに輝き、
まるで石垣そのものが生きているかのような迫力をまとっていました。
晴天とは違う、“雨の甲府城”もまた格別です。
■ 三城めぐりを締めくくるにふさわしい城
要害山城 → 武田氏館 → 甲府城という順番は、
中世から近世へ至る城の変遷を追体験するような流れ。
最後に歩く甲府城は、その締めを飾る風格を十分すぎるほど備えていました。
攻城の終わりに雨に降られつつ、
「雨の石垣もまた美しい」という、思わぬご褒美をくれた一城でもあります。


-
前の記事
武田氏館(躑躅ヶ崎館)|武田信玄が政務を執った“甲斐武田家の中枢” 2025.11.09
-
次の記事
記事がありません

